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INTERVIEW

実際にメタバース研究所ではどんな研究をしているのか、お二人が感じている面白みはどこなのか、じっくりお話を伺いました。

Profile

早瀬 友裕

2019年東京大学大学院数理科学研究科にて博士(数理科学)取得。博士課程での研究はランダム行列、自由確率論、作用素環論による機械学習の研究。大学院在学中Morpho, IncとPFNで機械学習のアルバイトやインターンを行い、深層神経回路のモデル圧縮に取り組む。また、大学院時から様々なソーシャルVRをプレイしていて、プレイ時間は数千時間。大学院卒業後富士通人工知能研究所にて、深層神経回路の理論研究、Contrastive Learning、転移学習の研究を行う。並行してお茶の水女子大学非常勤講師(情報理論)。ソーシャルVRにてワールドクリエイターをするうちに研究的魅力を見出し、2022年クラスターメタバース研究所に一人目の研究者として加わる。

平木 剛史

2019年、東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程修了。同年、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻にて日本学術振興会特別研究員 (PD)、Microsoft Research Asia 客員研究員を経て、2021年、筑波大学図書館情報メディア系助教。2023年、クラスター株式会社メタバース研究所シニアリサーチサイエンティスト(クロスアポイントメントにより筑波大学助教も併任)、現在に至る。拡張現実感、複合現実感、触覚インタフェース、ソフトロボティクスなどの研究に従事。博士(情報理工学)。

メタバース研究所とは?

メタバース研究所は、「人類の創造力を加速する」というクラスター全体の目標を先導します。科学的な知見やプラットフォームに蓄積されるデータをもとに、CV/CG/HCI/VR/BMIおよび、全体をまたぐML領域の研究に取り組み、プラットフォームであるクラスターに短期的・長期的を問わず還元していく成果と、人類全体を前に進めるアカデミックな成果も生み出し、融合していくことを目指しています。

まず簡単に、
お二人の経歴を教えてください。

早瀬

大学院時代は数理科学研究科で、無限次元の行列の応用研究などをしていました。さらに博士の時にCV(コンピューターヴィジョン)・ML(機械学習)系インターン(物体検出、次元圧縮)も並行して行い、博士取得後は、富士通の人工知能研究所でCVやML系のカメラに関する研究をしていました。 ここまで話すと全然VR出てきてないんですが(笑)、VRは大学の時から興味を持ってやっていました。平木さんと共同研究したり、趣味でVRChat、clusterもやっており、割とヘビーユーザーで長く使ってました。ここを機械学習と組み合わせたら面白そうだと感じて、どこか研究所がないかなと思ってたらクラスター社が作ったので、タイミング良いなと入社しました。

平木

大学院ではVR/AR/MR分野を研究している苗村研究室に所属し、高速プロジェクタを使ったARシステムを研究していました。また、JST ERATO 川原万有情報網プロジェクトにおいても研究を行っており、ソフトロボットという柔らかい素材でできたロボットと、その触覚ディスプレイへの応用について取り組んでいました。ちなみに僕自身がVRに興味をもったのはアニメの影響が大きいです。一般的には「ソードアート・オンライン」が入口と思われがちなのですが、僕の場合は.hackserial experiments lainというアニメがきっかけで、VRの世界にハマりました。

早瀬

あ、それで言うと僕は「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」ですね。

平木

あー、僕もそれはありますね(笑)

平木

VRにも興味をもったんですが、中学生の時からずっとロボット作るのも大好きでした。中高の時にロボット同好会で活動したり、大学時代はロボコンサークルである東京大学 RoboTechに所属していました。なので、東大に入学当初はロボットを研究しようと思っていたのですが、大学1年生のときに、鳴海先生(*1)のMeta Cookie(*2)という味覚を扱ったVRシステムについての記事を読んで、これがきっかけでやっぱりVRが面白いと感じて、VR/AR/MR分野の研究者になりました。

*1)鳴海 拓志 准教授: 東京大学 大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 葛岡・雨宮・鳴海研究室に所属

*2)Meta Cookie:クッキーに対し、視覚情報と嗅覚情報を重畳することで、クッキーの「風味」を変化させ、食べる人が受け取る味の認識を変化させるシステム

ありがとうございます。
実際にメタバース研究所ではどんな研究をしてるのですか?

早瀬

そもそもクラスターのMISSIONに「人類の創造力を加速する」とありますが、メタバース研究所はそこに直接関わっています。まずは人類ができることを増やすことで、人をサポートするAIや、集合知みたいなものを作り、そこからデータを引っ張って人ができるようなことをできるようにしています。 そもそも機械学習の良いところって、人生で1つのことしか出来ないことが、たくさんできるようになることだと思ってます。絵を描けたり、ものを作れたり・・・ メタバース研究所の領域も、MLやVR/HCI系統、BMIなどいくつかの領域に分かれているのですが、最終的には人ができることを増やすこと、つまりは創造力を加速させることに関係してくると思っています。 clusterが場所や空間を用意するのに対し、研究所はアルゴリズムや人類全体の力を使うサイエンティフィックのような所をメインで担当してると思っています。

平木

僕もクラスターのMISSIONにメタバース研究所が直接関わってくる、という点で早瀬さんと考えてるところは同じです。それを踏まえた上でメタバース研究所がやるべきことは2つあると思っています。 1つ目は、いわゆるアカデミアの研究者が言うところの研究、つまり、会社の役には立たないかもしれないけど、社会全体として科学技術を前に進める種類の研究です。人類全体の創造力を加速するために、論文を書いて科学技術そのものを前に進めることがやはり研究所の仕事としては重要だと思っています。 2つ目としては、クラスターにいるからこそできて、かつ会社に貢献しうる研究、つまり、clusterを使ってVRをはじめとした様々な分野の研究を加速させるための研究をしていきたいと思っています。例えばclusterはたくさんのユーザーさんが使ってくれているので、そこに蓄積されているいるデータを匿名化した上で行動の分析に使ったり、プラットフォームとしての便利さを活かして、VR空間における実験への応用可能性を高めるような方向性を考えています。ここでは、最先端の技術開発をして論文を書くことが全てではなく、実用的なものをつくるという点も大切だと考えています。

Senior Research Scientist 早瀬 友裕

なるほど、面白そうですね。
ちなみになぜお二人はメタバース研究所へ入られたのですか?

早瀬

メタバース研究所では、VR x ML x Mathができると思って入りました。MLをやるならば、やはりプラットフォームで研究する方がデータがあるので良いのですが、その中でも特にソーシャルVRでやりたいという思いがありました。なぜならそもそもソーシャルVRを日常使いしていて、ただまだ不便さを感じていたし、バーチャル世界は更に魅力的になってほしいと思っていたのです。その時タイミングよくクラスターが研究所を立ちあげ、MLもやりたいということで入りました。

平木

日本の民間企業でVR分野の研究ができる、かつメタバースプラットフォームやそこに蓄積されたデータを使って、実応用に近い研究ができると思って入社を決めました。日本において民間企業のVR研究組織を根付かせて、アカデミアと民間企業の研究面での交流を進めていくのは、メタバース研究所の大事な役割だと思っていて、そこに貢献したいと強く感じたことも大きかったです。

Senior Research Scientist 平木 剛史

なるほど、ありがとうございます。
お二人が感じるメタバース研究所の面白さはどこにありますか?

平木

研究所に関わっている人たちがみんな本気で研究組織を立ち上げようとしている点は魅力に感じました。企業のリソースにアクセスできる環境でありつつも、研究機関番号(*3)を取得していたりなど、アカデミアと比べて遜色ないくらいの自主性や動きやすさを持った組織が立ち上がりつつあります。しかも民間企業の研究所として、VR/AR/MRを重要な研究分野として据えていて、かつclusterという国内No.1のメタバースプラットフォームを運営しているという条件が整っている中で、その内側でプラットフォームを開発しているエンジニアチームとも連携しながら研究できるというのはとてもワクワクする環境だと思います。 また、面接の際にCEOの加藤さんから、単なるR&D部門を作るのではなく、本気で世界で戦える研究組織を作る、という熱意が伝わってきたことも興味を持った理由ですね。

*3) 研究機関番号: 文部科学大臣から「研究機関」として指定を受け、競争的研究資金である科研費への応募資格を認められた際に付与される番号

早瀬

わかります。ただの研究開発組織だったら僕も入社してないですね。研究所をやるスタンスを感じたので入社しました。 普通のR&D組織は、組織のための装置とかシステムの介在に繋がれば良いとされていますが、研究所としてきちんとやるという事は、きちんと外に出しても見劣りしない研究所として成果を出すものであること、それだけで終わらずに内部連携もあること。この2つが揃って初めてしっかりした研究所だと思っています。

平木

そういう意味では、加藤さんからclusterを使った研究をしてほしいと言われてるわけでは決してなくて、あくまで僕らがせっかくクラスター社にいて、clusterという良いプラットフォームがあるのだから、これを使った研究をしないともったいないと思って、自発的に提案をしています。 正直、研究者って上から強制されて仕事をする、というのをすごく嫌うんですよ(笑)

早瀬

その通りですね(笑)

平木

自由を好む人種だからこそ研究者になっています。そういう意味では、加藤さんがこういう研究をしてほしいというオーダーを一切出さず、論文が出て、人類や社会にとって価値があって、それら全体を加速することさえやってくれれば良いと話してくれたのは大きかったですね。

早瀬

情報が重要というのはサイエンス全体でも上がってきています。情報自体がそもそも物理にかなり影響を与えると思っていて、例えば量子や熱力学など情報科学との融合が進んでいます。 結局、情報は世界と人とサイエンスとを全て繋げるし、その発展にVR領域が繋がると思っています。データと情報とアルゴリズム(できればハードも)を融合していくと、面白い世界がみれるのではと思っていて、最終的には人のためもそうだし、自分がワクワクするものを作りたい思いでやっています。

平木

それでいうと、PSYCHO-PASSというアニメの中にホログラム、という技術があって、この技術を使うとモノの見た目や質感といった物理的性質を自由に描き変えられるのですが、僕自身はそんな技術を将来的にはを作りたいと思っています。そうすると、無機質なものの表面がワッ!と好きに書き換えられるようになって、そうすると僕らが住んでる世界がめちゃくちゃリッチになると思うんですよね(笑)

早瀬

(笑)

とてもワクワクしますね!
メタバース研究所では一緒に働く仲間も募集してると思いますが、どんな人にきて欲しいですか?

早瀬

そうですね、シンプルに今僕らがお話ししたことにワクワクしたり、共感を持ってくれる人がきてくれたら嬉しいですね(笑)

平木

一般的なベンチャー企業のR&Dっぽい組織だという感じで応募されると、ミスマッチになってしまう可能性があるかなと思っています。アカデミアと同様に、基本的には博士課程を修了した人が所属して、国際会議や英文誌で論文を出し、必要に応じて科研費などの競争的資金も獲得する、ガチの研究所として捉えてきて頂きたいです。いわゆる一般的なR&D組織と、僕らが目指している組織にはだいぶギャップがあると思うので、本気で研究したい人、研究者をキャリアとしている人にぜひ仲間になって欲しいです。

早瀬

あと、我々の専門研究と丸かぶりする必要は全くないです。自分が面白いと思っている研究をガンガン進められる人、好奇心を持って研究してくれる人が良いと思っています。

平木

メタバース研究所は良い意味で上からの締め付けがなく、自由度があります。かつ研究員個人の能力が高くてディスカッションも捗るので、居心地が良い人にとってはとても良い環境だと思います。自由な議論もあるし、高めあう仲間もいるので、ぜひ一緒に働きたいという方をお待ちしています。